休日の鐘

始発までの時間を散歩して過ごした。
水道橋から神保町を経てお茶の水へ。
夜更けに開いてるバーはないかと思ったがなかった。
マクドを３つ見た。

チェーンの居酒屋に入ろうかと誘惑はあったが止めた。
そんな葛藤の中「カイジ君は欲望の発散が下手だ」
というセリフを思い出す。
そうだ今こそ欲望をぶちまけなければとか思う。
しかし発散するのはいくらでも湧いてくる欲望だけで
結局のところ深い欲望はいつも満たされないでいるんじゃないか
とか考える。

コンビニでビールを買って飲んだ。
明大の前でマクドと富士そばを眺めながら飲んだ。

４時１５分からきっかり１０分間、
謎の鐘の音を聞いた。
おそらくド、ラ、ファ♯からなる非常に不気味な３音で
何の目的で鳴らされているのか全くわからない。

時間が正確に分かるのは病院に時計がついていたからで
音はその病院の方から聞こえたので
何か関係があるのかもしれない。

こないだ『ガンツ』を読んだからか通りの向こうから
怪物でも現れやしないかと思ったが何も起こらなかった。
関係ないが『電影少女』は傑作だと思った。

詩集を持ち歩く男になりたいと思い
３ヶ月前に鞄に入れた本をようやく読んでいる。
私のビッグバン『二千億光年の孤独』である。
中学生の時に感じた心の前立腺の疼きは健在だった。
胸がひっくり返ってメビウスの輪になってつながったみたいだ。

『５月の７日間』という詩があってあまりに良かった。

　祝宴は無く
　祭壇も無く
　旗も無い家々に
　テレビだけが青白い

始発待ちのプラットフォームはこれ以上ないくらい青白い。

美談の義足ランナーは１０億円をかけ自分で両足切断していた！

明け方の中央線に乗って三鷹に帰る。
水道橋から乗るのだが意外と混んでいて座れない。
中野でようやく座れた。
暇つぶしに吊革広告を熟読する。

水着の女の子がいて芸能人がいて政治家がいて
車内には酔っ払いと会社員と私立小学生がいる。
ふいに、「糞だな」と頭の中で発言があって
生身のぼくは１００％それに同意した。

糞って変換すれば読めるが書けない。
いい字だなと思う。
やるせなさと呆気ない感じが出てる。
糞なんて出れば流れるだけなのだ。

糞だ。
でも君たちは美しい。

カフカの『変身』は二日酔の状況描写か？

いい天気。
洗濯をして昼寝した。
米をたっぷり食べたのだが食べたりず
パンを蒸してバターと蜂蜜で食う。
ふと思うに僕の主食は米だけじゃない。
麦、特にビール、中でもビール、がないと落ち着かない。

神楽坂で友人のライブを見る。
アグレッシブなライブに驚く。
アルバムが出て勢いがあるのだろうな。
堪能する。

たっぷり寝たし、夜はどうしようかと考えながら
神楽坂を散歩した。
昨日の面接の電話があってほぼ決まりと受け取る。
バーテン業に戻りそうだ。

さっそく古本屋で酒にまつわる本を買う。
そして飲む。
高円寺の四文屋。

愛してる四文屋。